政府・与党が相続・贈与制度を見直す方針を固め、生きている間に子や孫に財産を移す生前贈与のうち、相続財産に加えて相続税の対象とする期間を現行の死亡前3年から7年へと延長する方向で最終調整するようです。
生前の早い段階での贈与を促し、若い世代が結婚や子育てなどで資金を必要としているときに円滑に資産が移りやすいようにする方向で、週内にもまとめる2023年度与党税制改正大綱に盛り込むようです。
生前贈与には毎年課税する暦年課税と相続時にまとめて課税する精算課税の2つがあり、現行の暦年課税は死亡前の3年間に贈与した分はさかのぼって相続財産に加算しており、見直し後はさかのぼる期間を7年へと延長したうえで、延長した4年間に受けた贈与は総額100万円までは相続財産に加算しない。
日本では1950年代に3年という期間が設定され、海外ではイギリスで7年、アメリカでは一生にわたって相続財産として課税、期間が長いほど資産を移転する時期に影響を与えにくく、中立的とされ、子や孫が資金を必要としている時に円滑に生前贈与が進むと考えられています。
精算課税も見直す方向で、現行では累積2500万円の控除枠を設け、超えた部分に一律20%を課し、適用を受けるにはまず税務署に届け出ることになります。
数万円などの少額でも贈与を受ければ申告する必要が生じ、利用が低迷していて、政府・与党は年110万円まで申告不要にし、非課税にすることで制度の使い勝手を高め、利用を後押ししていきます。